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2025.8.26

2025年税制改正で「103万円の壁」が大きく変わります!

基礎控除の見直しも徹底解説

はじめに

今年は、私たちの生活に密接に関わる「基礎控除」や「給与所得控除」に大きな見直しがありました。

特に、パートやアルバイトで働く方が意識する「年収の壁」にも影響があるため、今回はその内容を分かりやすく解説します。

「年収の壁」とは、パートやアルバイトなどの給与収入が一定額を超えると、所得税や社会保険料の負担が増え、手取りが減ってしまうことを言います。

これまで、所得税に関連する主な「壁」として「103万円の壁」や「150万円の壁」という言葉を聞かれたことがあると思います。

今回の税制改正でこれらの壁がどのように変わるのか説明します。

いつから変わるのでしょうか?

  • 令和7年12月1日から施行されます(令和7年11月までの給与から控除される所得税は変更なし)
  • 令和7年分の年末調整から新しい控除額が適用されます。
  • 令和8年1月以降の給与や年金には、新しい税額表の控除額が適用されます。

基礎控除が最大95万円に拡大されます

「基礎控除」とは、収入から差し引くことができる「税金がかからない枠」のことです。

現行は一律48万円です。

改正後は、まず58万円が控除され、さらに収入が少ない人には控除額が加算される仕組みになります。

◆基礎控除の加算の特例とは?

給与収入のみの場合、年収2,003,999円以下(合計所得金額132万円以下)の方は、基礎控除58万円に最大37万円を加算できます。

これにより、最大95万円まで控除が受けられます。

  • 合計所得金額132万円以下 → 95万円(満額)
  • 年収が増えると加算は少しずつ減額
  • 合計所得金額が655万円を超えると加算なし(58万円のみ)
  • 合計所得金額が2,350円を超える場合の基礎控除額には改正がありません。

◆年収ごとの基礎控除額早見表(給与収入のみの方)

合計所得金額年収の目安基礎控除額
132万円以下約200万円以下95万円
132万円超336万円以下約200万円超 約475万円以下88万円
336万円超489万円以下約475万円超 約665万円以下68万円
489万円超655万円以下約665万円超 850万円以下63万円
655万円超2,350万円以下850万円超 2,545万円以下58万円(加算なし)
2,350万円超2,545万円超48万円

「年収」とは給与の総額のことです。

税法上の「合計所得金額」は、年収から給与所得控除を引いた金額です。

「103万円の壁」が「160万円の壁」に

これまでの「103万円の壁」は、

・給与所得控除額55万円

・基礎控除額48万円

を足して103万円を超えると税金がかかる、というルールでした。

改正後は…

・給与所得控除額65万円

・基礎控除額 最大95万円

を足すと、年収160万円までなら所得税ゼロになる可能性があります。

扶養に関する「壁」も緩和

これまでは、扶養される側の年収が103万円を超えると所得税法上の扶養から外れました。

改正後は…

  • 扶養控除対象の年収上限 … 123万円 に引上げ →「123万円の壁」
  • 「特定親族特別控除」が新設(大学生など19〜23歳未満の親族が対象)
    年収123万円超150万円以下の場合、扶養者(親など)は満額63万円の控除が受けられます

配偶者特別控除の「150万円の壁」が「160万円の壁」に!

これまで、配偶者の年収が150万円を超えると、配偶者特別控除の満額(38万円)が受けられなくなっていましたが、配偶者の年収が160万円以下であれば満額控除が可能となります。

社会保険の「130万円の壁」と「106万円の壁」にも注意

ここまで説明してきた「103万円の壁」「160万円の壁」は所得税や扶養控除の話ですが、社会保険の壁は別物です。

収入が増えると、税金だけでなく自分で健康保険や年金の保険料を支払わなくてはなりません。

■ 130万円の壁

年収が 130万円以上 になると、原則として社会保険の扶養から外れて自分で社会保険に加入し、保険料を支払うことになります。

主に中小企業で勤務されている方や個人事業主の扶養に入られている方が対象です。

■106万円の壁

従業員数101人以上の会社で、週20時間以上働くなどの条件を満たす場合、年収106万円以上 で社会保険の加入が必要になります。

学生や短時間パートの方も条件次第で対象になることがあります。

所得税がゼロでも、社会保険料が発生すれば手取りは減る可能性があります。

まとめ―税理士の一言―

今回の税制改正は、特に低所得者層や子を持つ世帯にとって、税負担の軽減につながる大きな変更です。

ご自身の合計所得金額や扶養状況に応じて、受けられる控除額が変わってきます。

年末調整の際には「給与所得者の基礎控除申告書」や「給与所得者の特定親族特別控除申告書」などの提出を忘れずに行ってください。

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2025.8.19

役員退職金を支払うに時に知っておきたい税務と実務のポイント

シリーズ退職金を考える(1)

役員退職金 税務ポイント

はじめに

役員退職金の支払いは、会社にとって節税につながる大きな費用の発生でもありながら、税務調査で特に注目されやすい項目の一つでもあります。

特に近年では、確定拠出年金制度の拡充や、退職所得に関する手続きの見直しなども進んでおり、役員退職金を支払う側の法人としては事前に押さえておきたい税務ポイントがたくさんあります。

この記事では、役員退職金の支給を検討するにあたって、法人が気をつけておきたい大切な実務・税務のポイントを、Q&Aも交えながらわかりやすく解説します。

1.どうやって決める?退職金の決定方法とその根拠

役員退職金の支給は、以下のいずれかの方法で決定します。

  • 定款で定めておく
  • 株主総会の決議によって決める

実務では、定款で詳細まで定めているケースは少なく、多くの会社では株主総会で金額や支給時期を決議しているのが現状です。

(参考条文)会社法第361条(取締役の報酬等)

「取締役の報酬、賞与その他の職務執行の対価として株式会社から受ける財産上の利益(以下この章において「報酬等」という。)についての次に掲げる事項は、定款に当該事項を定めていないときは、株主総会の決議によって定める。

一 報酬等の報酬等のうち額が確定しているものについては、その額

二 報酬等のうち額が確定していないものについては、その具体的な算定方法

また、定款や議事録に「退職金を支給する」とだけ書かれていて金額が明示されていない場合には、実際に金額を決めた日が「支給決定日」になります。

Q. 定款に「退職金を支給する」と書いてあれば、それだけで良いですか?

A. いいえ、それだけでは不十分です。

具体的な金額を株主総会などで決議しておく必要があります。定款だけでは金額の妥当性が説明できないため税務上の損金処理の根拠としては弱く、税務調査で否認される可能性もあります。

Q. 退職金規程を作らないとダメですか?

A. 義務ではありませんが、作っておくと安心です。

退職金の算定基準や支給要件を明文化しておくことで、支給の妥当性を客観的に説明できるようになります。就業規則のように社内規程として整備することで、税務上のリスクを軽減できます。

2.いくら払う?退職金額の決め方と「功績倍率」の考え方

役員退職金の額には、法律で定められたルールはありませんが、税務上「過大」と判断されると、経費として認められない可能性があります。

そのため、一般的には「功績倍率法」という計算方法をベースに金額を設定することが多いです。

功績倍率法とは

最終の月額報酬 × 勤続年数 × 功績倍率

たとえば…

社長:2.0~3.0倍

常務・取締役:1.5~2.0倍 などが目安です。
(倍率はその役職での会社への貢献度に応じて設定します)

このように報酬や勤続年数に加え会社の業績や役員の貢献度などを考慮して金額を決めることが大切です。

Q. 退職金の額は会社が自由に決めても良いですか?

A. いいえ、税務上は「合理的な金額」である必要があります。

根拠のない高額な退職金は、損金不算入(経費にならない)とされるリスクがあります。功績倍率法など明確な算定基準に基づいて、過去の報酬や在任年数、他社比較などを踏まえて設定する必要があります。

3.本当に退職した?「退職所得」と認められる条件

退職金は「退職所得」として扱われれば、退職所得控除や1/2課税の優遇が受けられます。

ただし、以下のようなケースでは、実際に退職しているかどうかの「実質性」が問われます。

  • 代表取締役から非常勤役員に変わっただけ(いわゆる分掌変更)
  • 退任後すぐに顧問契約をしたり、再任されたりするケース
  • 職務内容・権限・報酬が変わっていない

実態として役員の業務が終了していなければ、「退職」ではなく「継続勤務」とみなされる可能性があり、税務上は退職金とされないリスクがあります。

Q. 分掌変更でも退職所得になることはありますか?

A. はい、あります。

ただしそのためには、職務・権限・報酬などに明確な変化がなければなりません。単なる役職名の変更など形式だけでは認められませんので、実質的な変化を証明する資料(辞任届・新体制の組織図・職務分掌表など)の準備が重要です。

Q. 退職金として支払ったあとで「これは給与です」と言われることはありますか?

A. はい、あります。

退任の実態がないと税務署に判断された場合、退職所得ではなく給与として課税されることがあります。その場合は、退職所得控除や1/2課税の優遇は受けられず、税負担が大きくなるため注意が必要です。

4.「退職した証拠」を残しておくことが大切です

税務調査で「これは本当に退職金ですか?」と問われたとき、しっかりと説明できるように資料を整えておくことが大切です。

主な必要資料

・株主総会議事録(支給決議)
・退任届・辞任届
・株主総会議事録(支給決議)
・退任届・辞任届
・最終月額報酬の証憑書類
・名刺・組織図・社内通知など、実態の変化を示す資料

5.令和8年(2026年)からの提出義務に注意!

令和8年1月1日以降は、退職金を支払った場合の「退職所得の源泉徴収票・特別徴収票」の提出対象が拡大されます。

これまでは⇒役員退職金のみ提出

これからは⇒役員以外の従業員退職金も提出

社内での処理が煩雑になる可能性があるため、人事・経理部門担当者は提出を忘れないよう注意が必要です。

役員退職金支払いにおけるまとめの税務ポイント

役員退職金は、法人にとっては節税にもなる有効な手段ですが、形式的な処理だけでは通用しません。

  • 支給決定は定款または株主総会で明確に
  • 金額は功績倍率など合理的な基準で算定
  • 実質的な退任であることの証明が必要
  • 記録資料の整備が万全かをチェック
  • 税務手続きの変更にも備えておく

支給を検討されている場合は、上記税務ポイントをおさえながら税理士などの専門家とよく相談した上で、丁寧に準備を進めることをおすすめします。

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2025.8.4

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