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2026.2.23
基礎控除等の見直しについて
令和8年改正(3)

はじめに
基礎控除に関してニュースで話題の「年収の壁・178万円」を実現するために、非常に複雑な「2階建て」の仕組みが導入されます。この記事では、令和8年から基礎控除がどう変わるのか、いくらになるのかを分かりやすく解説します。
改正の全体像:なぜ「178万円」になるのか?
これまで、パートやアルバイトの方の税金がかかり始めるラインは「年収103万円」でした。これが令和8年・9年の2年間は、実質「178万円」まで引き上げられます。
この「178万円」という数字は、以下の2つの控除の合計額です。- 基礎控除(合計):104万円
- 給与所得控除額(最低額):74万円
今回の改正で最も重要なのが、この「基礎控除」の大幅な増額です。
基礎控除は「インフレ調整」+「特例上乗せ」の2階建て
新しい基礎控除は、シンプルな一律アップではなく、「物価変動に対応した本則(1階部分)」と「政策的な上乗せ(2階部分)」の組み合わせで構成されます。
(1)1階部分:物価スライドで「62万円」へ(恒久措置)
まず、所得税法上の基本的な基礎控除額が引き上げられます。
物価上昇に合わせて生活費の実質的な価値を守るため、これまでの定額(48万円)から、消費者物価指数の上昇率を反映させた金額に見直されます。改正後の本則:62万円(合計所得2,350万円以下の人)
これにより、物価が上がれば基礎控除も増える仕組みが導入されましたが、今後の制度運用や改正の動向には引き続き注意が必要です。
合計所得金額 現行(令和7年改正後) 改正後(令和8年分〜) 2,350万円以下 58万円 62万円 (+4万円) 2,350万円超 2,400万円以下 48万円 48万円 2,400万円超 2,450万円以下 32万円 32万円 2,450万円超 2,500万円以下 16万円 16万円 2,500万円超 0円 0円 (2)2階部分:年収の壁突破のための「42万円」上乗せ(時限措置)
「178万円の壁」を実現するために、特例としてさらに控除額が上乗せされます。
この上乗せは所得金額(年収)によって金額が異なります。- 合計所得489万円以下(給与年収 約665万円以下)の人
上乗せ額:42万円
基礎控除額合計:104万円(62万円+42万円) - 合計所得489万円超~655万円以下(給与年収 約665万~850万円)の人
上乗せ額:5万円
基礎控除額合計:67万円(62万円+5万円)
つまり、多くの給与所得者(年収665万円以下)にとっては、基礎控除が現在の48万円から一気に104万円へと増額することになります。
年収ごとの「基礎控除額」早見表
◆令和8年・9年分(手厚い支援期間)
合計所得金額 基礎控除額(本則) 特例加算額 489万円以下
(給与年収 約665万円以下)62万円 +42万円 489万円超 655万円以下
(給与年収 約665万〜850万円)62万円 +5万円 655万円超 62万円 なし ◆令和10年分以後(恒久的な姿)
合計所得金額 基礎控除額(本則) 特例加算額 132万円以下 62万円 +37万円 132万円超 62万円 なし 年収ごとの「基礎控除額」早見表(令和8・9年分)
給与年収(目安) 合計所得金額 基礎控除(本則) 特例加算額 基礎控除の合計 ~665万円 489万円以下 62万円 +42万円 104万円 665万円超~850万円 489万円超
~655万円以下62万円 +5万円 67万円 850万円超 655万円超~ 62万円 なし 62万円 (超富裕層) 2,350万円超~ 段階的に減少 なし 48万円~0円 ※給与年収665万円以下というラインは、給与所得者の約半数以上(累計約4,000万人)が含まれる範囲と想定されています。
注意点:住民税や適用時期について
この新しい基礎控除は、令和8年分の所得税から適用されます。 会社の給与計算(源泉徴収)での対応は、事務負担への配慮から令和8年の年末調整で一括して行われる予定です。つまり、毎月の手取額が増えるのは令和9年1月からとなります。
今回の「基礎控除104万円」等の大幅アップは、所得税(国税)だけの話です。 住民税(地方税)の基礎控除(現行43万円)については、今回の改正では増額されず、据え置きとなっています。 ただし、住民税の非課税限度額などについては、今後検討が行われる予定です。
まとめ
令和8年からの基礎控除改正のポイントは以下の3点です。
- 基礎控除額が最大104万円に倍増(年収約665万円以下の人)
- 給与所得控除額(最低74万円)と合わせて「178万円」まで所得税ゼロに
- 高所得者(年収850万円超など)は恩恵が小さくなる(基礎控除62万円)
「働き控え」を解消するための大きな改革ですが、適用されるのは少し先です。また、令和10年以降は上乗せ額が縮小される予定(合計99万円)となっているため、今後の動向が気になるところです。
【執筆者プロフィール】

東元 美恵(とうもと みえ)
代表社員税理士(近畿税理士会 北支部所属)
行政書士(日本行政書士会連合会北支部所属)
freee認定アドバイザー
認定経営革新等支援機関略 歴:
平安女学院短期大学英文科 卒業
三井住友海上火災保険株式会社ほか、
資産税を得意とする税理士法人に5年間勤務後
2013年1月 税理士法人KTリライアンス代表社員就任
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