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2026.9.18
【役員死亡退職金の規程がない場合はどうする?】
シリーズ退職金を考える(4)

株主総会決議・議事録・税務上の注意点を解説
役員が突然亡くなった場合、会社の担当者が最初に直面するのが「退職金規程がないのに死亡退職金を支給しても大丈夫なのか?」という問題です。
結論からお伝えすると、退職金規程がなくても、死亡退職金を支給することは可能です。しかし、正しい手続きを踏まないと税務調査で否認されたり、遺族が意図しない課税を受けたりするリスクがあります。
この記事では、規程がない場合に確認すべき手続き、株主総会で決める内容、事前準備について解説します。1.退職金規程は「なければならない」わけではない
まず、大前提として押さえておきたいのが、退職金規程の作成は法律上の義務ではないという点です。
会社法上、役員への退職金の支給は「定款への定め」または「株主総会の決議」で行うことが認められています。退職金規程がないということだけを理由に、税務調査で退職金の損金算入を否認されることはありません。
ただし、規程がある場合との比較でいくつかのデメリットもあります。
規程がない場合のデメリット
- 支給金額、時期、方法を原則として株主総会で決議する必要がある
- 支給額の妥当性を説明する客観的な根拠が乏しくなる
- 死亡退職金と弔慰金の区別が曖昧になりやすく、税務リスクが高まる
規程があるメリットは、「支給基準を明確にできる」「株主総会から取締役会等へ一任する範囲を明確にしやすい」などです。
ただし、規程があっても取締役会への一任で済ませるより、株主総会で支給内容を承認しておく方が無難です。
また、一度規程を作ると、他の役員が退職する際にもその規程通りに運用しなければならないことに注意が必要です。規程を作るかどうかは、メリット・デメリットを踏まえて慎重に判断してください。
2.規程がない場合の手続き
退職金規程がなく、定款にも支給額の定めがない場合、死亡退職金を支給するには原則として株主総会の決議が必要です。これは会社法361条に基づくものです。
株主総会の開催について
役員の死亡が、通常の定時株主総会に近い時期であればそこで決議をすることが可能ですが、次の定時株主総会まで1年近く期間が空くことになる場合には、臨時株主総会を開催して決議することになります。臨時株主総会は、取締役が必要と認めるときにいつでも招集することができます。死亡退職金は、原則として支給額が具体的に確定した事業年度で損金算入することになるため、早めの開催を検討してください。
3.株主総会で決議すべき内容
規程がない場合、株主総会では以下の事項を具体的に決議しておく必要があります。
- 支給する相手(誰に支払うか)
- 支給金額(具体的な退職金の額、弔慰金の額)
- 支給時期
- 支給方法(現金または現物か、一括または分割か)
退職金は、金額を確定した日の属する事業年度に損金算入できますが、「すべてを取締役会に一任する」という決議では、退職金の支払債務が確定したとは認められず、その事業年度の損金に算入できない可能性があります。
また、前回の記事でも触れましたが、死亡退職金と弔慰金を明確に区別することは非常に重要です。規程がない場合でも、株主総会において「死亡退職金○○円」「弔慰金○○円」と別々に決議し、株主総会の決議内容に則って、会計処理・振込手続をそれぞれ分けて行うことで明確に区別することができます。
前回の記事はコチラ⇒役員の死亡退職金と弔慰(ちょうい)金について
4.事前に備えることの重要性(生命保険との連動)
死亡退職金は突発的に発生するため、財源の確保が課題です。法人契約の生命保険を活用することで、退職金の財源を確保できます。ただし、受け取った保険金の額=退職金の適正額ではありません。過去の裁判例でも「保険金収入と退職金支出は別個に考えるべき」とされています。
保険金を全額退職金として支給したとしても、功績倍率法で算出した適正額を超えていれば、その超過部分は損金不算入となります。
また、生命保険の活用とあわせて退職金規程を作成しておくかどうかの検討も重要です。規程を整備しておけば支給基準を明確にできますが、定款や株主総会決議との関係も確認しておく必要があります。
まとめ
役員死亡退職金の規程がない場合のポイントを整理します。
「規程がないから支給できない」わけでも「規程がないから自由に決めてよい」わけでもありません。手続きの正確さと根拠の明確さが税務上の安全につながります。万一の際に慌てないよう、今からできる準備を専門家と一緒に進めておくことをお勧めします。
【執筆者プロフィール】

東元 美恵(とうもと みえ)
代表社員税理士(近畿税理士会 北支部所属)
行政書士(日本行政書士会連合会北支部所属)
freee認定アドバイザー
認定経営革新等支援機関略 歴:
平安女学院短期大学英文科 卒業
三井住友海上火災保険株式会社ほか、
資産税を得意とする税理士法人に5年間勤務後
2013年1月 税理士法人KTリライアンス代表社員就任【執筆者プロフィール】
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