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2026.3.2
法人税の変更:設備投資・賃上げ・中小企業向け特例編
令和8年改正(4)

はじめに
設備投資・賃上げ・中小企業向け特例の変更点をやさしく解説
「強い経済」の実現を掲げ、令和8年度税制改正大綱が発表されました。
設備投資や研究開発、賃上げなど、政策効果が明確な分野には大胆な支援が行われています。
一方、効果が薄いと判断された制度については、廃止・縮小がはっきりと打ち出されています。
この記事では、経営者・経理担当者が特に押さえておくべき法人税の改正ポイントを、わかりやすく解説します。「特定生産性向上設備等投資促進税制」の新設
これは単なる設備更新ではなく、高付加価値化につながるための大規模投資を行う企業を強力に支援する制度です。
- 対象となる資産:機械装置、器具備品、建物、ソフトウェアなど(原則として全業種対象)
- 投資額合計:中小企業等は5億円以上(大企業は35億円以上)
- 投資利益率(ROI):年平均15%以上の見込み
【税務上のメリット】
以下のいずれかを選択できます。
- 即時償却:(取得価額の全額を当期の費用に計上)
- 税額控除:法人税額の7%(建物等は4%)
さらに、事業環境の急変に対応する計画認定を受けた場合には、赤字でも最大3年間、税額控除の繰越が可能です。
これまで対象外だった建物を含む大規模投資も対象になるため、「攻めの投資」を検討される企業にとっては、メリットの大きい改正です。
中小企業の「少額減価償却資産の特例」が拡大
30万円未満の資産を経費にできる「少額減価償却資産の特例」について、物価高を反映した見直しが行われます。(令和8年4月1日以後取得分から適用の見込み)
- 基準額の引き上げ: 取得価額 30万円未満 → 40万円未満
- 対象法人の縮小: 常時使用する従業員数が400人を超える法人は対象外
- 適用期限: 3年間延長(本来は令和8年3月末まで)
パソコンや応接セットなど、物価上昇で30万円を超えやすくなっている資産も、40万円未満までなら一括で経費にできます。
ただし、適用を受ける事業年度で、取得価額の合計額が300万円以内という限度額は変わりません。賃上げ促進税制は大幅見直し
賃上げを促すための「賃上げ促進税制」ですが、昨今の賃上げ機運の高まりを受け、役割を終えた部分については縮小・廃止されます。
【大企業向け】
適用期限(本来は令和9年3月末)を待たずに、令和8年3月31日で廃止されます。
【中堅企業向け】
要件を以下のように厳格化した上で継続し、適用期限(令和9年3月末)をもって廃止されます。
賃上げ要件(継続雇用者の給与等支給額の増加率)の引き上げ
税額控除を受けるためのハードル(増加率の要件)が全体的に1%〜2%引き上げられます。必須要件(税額控除率 10%) 現行:3% 以上 → 改正後:4% 以上
(4%未満の賃上げでは、税額控除が一切受けられなくなります)上乗せ要件(税額控除率の加算) 現 行:4% 以上で、控除率に +15%(合計 25%)改正後:5% 以上で、控除率に +5%(合計 15%)改正後:6% 以上で、控除率に +15%(合計 25%) これまで「4%賃上げ」で最大控除(25%)を受けられました。
改正後は「4%賃上げ」では最低ラインの控除(10%)しか受けられず、最大控除を受けるには「6%賃上げ」が必要となります。
【中小企業向け】
税額控除は現行制度が維持され、「教育訓練費の上乗せ措置」は廃止されます。
(令和8年4月1日以降に開始する事業年度から適用の見込み)研究開発税制は「戦略分野」を優遇
- 戦略技術領域型(新設): 税額控除率 40%(共同研究等は50%)
- 繰越控除の導入: 戦略分野等については、使い切れなかった税額控除枠を3年間繰り越せるようになります。
- 海外委託の制限: 国内の研究拠点を守るため、海外への委託研究費については控除対象に一定の制限が設けられます。
事業承継税制の計画提出期限が延長
「法人版事業承継税制(特例措置)」について、前提となる特例承継計画の提出期限が令和9年9月末まで延長されました。(1年6ヶ月の延長)
「まだ準備ができていない」という経営者にとっては朗報ですが、制度自体の適用期限が迫っていることに変わりはありません。早めの対応が必要です。自社が「どの制度を使えるのか」「今後どう動くべきか」は、早い段階で専門家と確認し、戦略的に判断することが求められます。
※本記事は、令和8年度税制改正大綱および関連公的資料に基づいて作成しています。
※具体的な適用可否や手続きについては、税理士等の専門家にご相談ください。【執筆者プロフィール】

東元 美恵(とうもと みえ)
代表社員税理士(近畿税理士会 北支部所属)
行政書士(日本行政書士会連合会北支部所属)
freee認定アドバイザー
認定経営革新等支援機関略 歴:
平安女学院短期大学英文科 卒業
三井住友海上火災保険株式会社ほか、
資産税を得意とする税理士法人に5年間勤務後
2013年1月 税理士法人KTリライアンス代表社員就任
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