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2025.12.2

新リース会計基準

大企業から中小企業まで、その本質と税務対応を徹底解説

はじめに

最近「新リース会計基準」という言葉を耳にされた方も多いのではないでしょうか。

「これってうちの会社も対応しなきゃいけないの?」

「会計や税務の処理は大きく変わるの?」

と、不安に感じられる経理担当者の方も少なくありません。

この新基準は、2027年4月1日以後に開始する事業年度から強制適用されますが、2025年4月1日以後に開始する事業年度から任意で適用することができます。

特に、上場企業や大企業にとっては会計処理の大きな見直しが必要になりますが、中小企業はこれまで通りの方法で処理できる場合が多く、影響は限定的です。

本記事では、この新リース会計基準の内容や対象、企業規模ごとの影響、そして税務上の対応について、わかりやすく解説します。

新リース会計基準とは? 借手の会計処理の変更点

これまでの基準では、借手側はリース契約を「ファイナンス・リース」と「オペレーティング・リース」に分け、それぞれ異なる会計処理を行ってきましたが、新基準では単一の方法で処理することになります。

■貸借対照表への計上

具体的には、

リース資産を使用する権利=「使用権資産」

リース料を支払う義務=「リース負債」

を貸借対照表に計上します。

つまり、これまで貸借対照表に載せていなかったリース契約も、1年以内の短期リースや少額リースを除き、すべて資産と負債として計上する必要が出てくるのです。

これにより、企業の総資産と総負債の両方が増加するため、総資産の増加に対して株主資本の比率が低下し、結果として自己資本比率は低下する可能性が高くなります。

一方、貸手側は従来通り「オペレーティング・リース」と「ファイナンス・リース」に分けて処理します。

■費用計上の仕組み

貸借対照表に計上されたリース取引は以下の費用に計上されます。

  ・ 使用権資産の減価償却費: リース期間にわたって費用として計上されます。(例えば、リース期間定額 法を採用した場合、毎年同じ金額ずつ)

  ・リース負債に係る利息費用: 原則として利息法という方法で計算され、リース期間の当初に多く費用計上される傾向があります。

このため純利益が低下し、結果としてROA(総資産利益率→純利益÷総資産で計算)は低下する可能性が高くなります。

*ファイナンス・リース

     ・資産を分割払いで購入するような取引

     ・リース期間中の中途解約は原則不可

* オペレーティング・リース

     ・実質的には、貸し手から資産をレンタルするような取引

     ・契約期間終了時に資産を貸し手へ返却

     ・中途解約も可能(ただし、違約金が発生するケースあり)

適用対象はどんな会社?

  • 金融商品取引法の適用を受ける会社
  • 会計監査人を設置している会社(会社法上の大会社を含む)
  • 上記の会社の子会社や関連会社

これらの企業は、連結財務諸表だけでなく個別財務諸表にも新基準を適用します。

 中小企業は影響が少ない理由

「うちは中小企業だから関係ない?」

結論から言うと、多くの中小企業はこれまで通りの処理が可能です。理由は以下の通りです。

中小企業の会計指針が使える

上場していない又は会計監査の義務がない中小企業は、

「中小企業の会計に関する指針」

ファイナンス・リースは「所有権」が移転するものについては売買取引とし、それ以外については「賃貸借取引」として処理することが認められている

「中小企業の会計に関する基本要領」

リース取引の借手側は「賃貸借取引」または「売買取引」により会計処理を行うとされている

に沿った処理を続けられます。これらは中小企業の事務負担を減らすために作られたルールです。

ファイナンス・リースも賃貸借処理OK

例えば、所有権移転外ファイナンス・リース(契約終了後に物を返すリース)も、資産に計上せず、毎月のリース料を費用として処理できます。

【具体例】コピー機を5年間リースした場合

・新基準の原則処理

貸借対照表に「リース資産」と同額の「リース債務」を計上します。

その後、毎月の支払で負債を減らすとともに「支払利息」を計上し、資産については減価償却を行います。

・中小企業の特例処理

リース総額にかかわらず、賃借料を費用に計上するのみで、資産を貸借対照表に載せません。

賃貸借取引として会計処理を行った場合は、未経過リース料を注記する必要がありますが、リース総額300万円以下などの重要性がないリース取引については注記を省略することも可能です。

重要性の原則でさらに簡便処理

新基準を適用する場合でも、以下の重要性が低いリース契約は賃貸借処理が可能です。

・リース期間が1年以内

・総額300万円以下の少額リース

税務上の取り扱いと令和7年度改正のポイント

会計と税務は必ずしも同じではありません。

令和7年度税制改正で、リース取引の税務ルールも整理されました。

ファイナンス・リースの定義

・中途解約禁止+フルペイアウトの条件を満たすリース

・税務上は引渡時点で「売買があった」とみなし、減価償却費を計上します

所有権移転外ファイナンス・リースの償却方法

・従来:残価保証額を控除して償却

・改正後(2027年4月1日以降契約分):残価保証額を控除せず1円まで償却可能

・経過措置(2027年3月31日以前契約分):「経過リース期間定額法」の選択届出により1円まで償却可

オペレーティング・リースの処理

・賃貸借として扱い、リース料を費用に計上します。(税務申告の調整不要)

ファイナンス・リースの会計と税務のズレ(税会不一致)

支払リース料として費用に計上した額を、税務上は資産の償却費と考えます。しかし、支払リース料の総額と償却限度額(リース期間定額法による限度額)は一致しません。

よって、その差額を法人税申告書で調整します。

・支払リース料(会計上の費用)> 償却限度額(税務上の損金算入額)

差額を損金に算入できないとして加算調整(利益が増加)

・支払リース料(会計上の費用)< 償却限度額(税務上の損金算入額)

差額を損金に算入できるとして減算調整(利益が減少)

まとめと実務へのアドバイス

新リース会計基準は、大企業には大きなインパクトがありますが、中小企業の多くは特例を使って、これまでと同じような処理を続けられます。

本格適用までまだ時間はありますが、自社がどの処理方法を採用するかを早めに検討しておくことが大切です。そうしておくことで、契約更新や新規のリース契約の際にも迷わずスムーズに対応できます。

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【執筆者プロフィール】

東元 美恵(とうもと みえ)

代表社員税理士(近畿税理士会 北支部所属)
行政書士(日本行政書士会連合会北支部所属)
freee認定アドバイザー
認定経営革新等支援機関

略 歴:

平安女学院短期大学英文科 卒業
三井住友海上火災保険株式会社ほか、
資産税を得意とする税理士法人に5年間勤務後
2013年1月 税理士法人KTリライアンス代表社員就任

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