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2026.3.24

暗号資産がついに「申告分離課税」へ

税率20%・損失の繰越も可能になる改正案をやさしく解説

はじめに

暗号資産(仮想通貨)に投資している方にとって、待ち望まれていた改正案が発表されました。
令和8年度税制改正大綱において、暗号資産の税制を株式やFXと同じ「申告分離課税(税率20%)」に移行する方針が明確に示されたのです。

これまでは

  • 「利益が出れば出るほど税金が上がる」
  • 「損をしても翌年に繰り越せない」

といった不満が多かった暗号資産に関する税制ですが、今回の改正により投資環境は一変します。
この記事では、改正内容を税務の専門知識がなくても分かるように整理して解説します。

最大の変更点:税率が「一律20%」へ

これまで暗号資産の利益は、「雑所得(総合課税)」に分類され、給与所得などと合算して税金の計算がされていました。そのため、利益が出れば出るほど税率が上がり、住民税と合わせて「最大55%」もの税金がかかっていました。

▶ 改正後はどうなる?

暗号資産の利益が「申告分離課税」となり、次のようになります。

所得税:15%住民税:5%合計:20%(一律)

どれだけ大きな利益を出しても税率は20%で固定されるため、特に大きく利益が出ている投資家にとっては劇的な減税となります。

損をしても安心!「3年間の損失繰越」が可能に

これまでの制度では、暗号資産で損失が出ても、税金の計算上、その損失はどこにも反映されず、翌年以降の利益と相殺することはできませんでした。

▶ 改正後はどうなる?

上場株式やFXと同様に、次のようになります。

  • 損失を3年間繰り越し
  • 将来の利益と相殺可能

えば

  • 今年:▲100万円(損失)
  • 翌年:+100万円(利益)

 繰越控除を使えば、来年の課税はゼロ
(これまでは、翌年の利益100万円に丸々課税されていました)

対象となる資産と損益通算

今回の制度の対象となるのは、金融商品取引業者等を通じて行う「特定暗号資産」取引です。

以下の取引間で、損益通算(利益と損失の相殺)が可能になります。

  • 暗号資産の現物取引
  • 暗号資産のデリバティブ取引
  • 暗号資産ETF(上場投資信託)


例えば、「現物では損をしたけれど、デリバティブでは利益が出た」といった場合、
それらを合算して税金の計算ができるようになります。

消費税も「有価証券」扱いに

消費税の計算上も、暗号資産は「有価証券に類するもの」として扱われることになります。

ポイント

「課税売上割合の計算」で、譲渡対価の5%相当額のみを分母に算入

この改正は主に、暗号資産取引を事業として行っている法人・個人事業主に影響します。

いつから適用される?(ここが重要!)

「来年からすぐ20%になるの?」というと、実はそうではありません。
この改正は、「金融商品取引法等の改正」が前提となっています。

税制改正大綱の記載

「金融商品取引法の改正法の施行の日の属する年の翌年1月1日以後」

つまり、

  1. 金融商品取引法が改正される
  2. その法律が施行される
  3. その翌年1月1日から新税制スタート

という流れです。

スケジュール次第では、実際の適用は令和9年(2027年)以降になる可能性もあります。今回の改正は、暗号資産を「決済手段」ではなく、資産形成に資する「金融商品」として位置づけ直すものです。

  1. 税率は一律20%(申告分離課税)
  2. 損失は3年間繰り越せる
  3. 取引業者には報告義務(マイナンバー等)が課され、適正な課税が行われる

透明性を確保しつつ、投資家にとっては非常に有利な制度へと生まれ変わります。施行までまだ時間がかかりますが、含み損を抱えている方は「損出し」のタイミングを考えるなど、将来を見据えた戦略が必要になりそうです。

※本記事は、令和8年度税制改正大綱に基づいて作成しています。
実際の適用時期・詳細は、今後の国会審議や法改正により確定します。

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【執筆者プロフィール】

KTリライアンス東元美恵

東元 美恵(とうもと みえ)

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